S-アリルシステイン血液脳関門通過について


 お客様から、「S-アリルシステイン血液脳関門を通過するか?」というご質問をいただきましたので、調べてみました。


 血液脳関門
 
 今から100年以上前、エールリッヒという病理学者が動物の体内に色素を注射したところ、体内の組織の中で脳だけが色素に染まらないことを発見しました。
 その後の研究で、脳には有害な物質を通過させない「バリアー」のような監視網があることが明らかになりました。

 元々体内の組織には、どの臓器がどんな物質を吸収しやすいかを決める「トランスポーター(輸送担体)」と呼ばれる、顕微鏡でも見えないほど小さな、たんぱく質で出来た「トンネル」があります。このトンネルは、特定の物質だけを細胞の中に取り入れたり、細胞から排出したりする働きがあり、それぞれの臓器の細胞によって「トランスポーター」の働き方が違います。

 臓器に栄養なり有害物質なり、様々な物質が侵入するためには、毛細血管の細胞の間のすきまを通り抜けていくか、血管の細胞の細胞膜にある「トランスポーター(輸送担体)」を通って血管細胞の内部を素通りして臓器の細胞に伝わるか、あるいは細胞膜の成分である「油脂」に溶け込んで血管の外にしみ出していくか、この3つの経路しかありません。

 人間の体の組織の中でも、特に重要な働きを持つ「脳」のまわりの血管には、有害な物質が入りこまないようにするため、血管細胞同士がすきまなく「ぴっしり」くっついた構造を持っています。また、細胞壁の「油脂」に溶けこんで血管の外に「しみ出す」はずの物質も、脳血管の細胞膜に限って、なぜかその行く手を阻まれてしまいます。そのため脳の血管の中を通る物質は血管細胞の「トランスポーター」を通過するしか方法がないのです。

 この脳の血管が担う「バリアー」のような監視網の事を 血液脳関門 と呼びます。

 ですから脳疾患に関わる薬は、血液脳関門を通過するかどうかが非常に大事な問題になってきます。

 ところが、血液脳関門を通過するかどうかは、単に物質の分子量の大きさだけが問題なのではないので、いまだにどの物質は通過し、どの物質が通過しないか、その秘密が解明されていません。この秘密を解明して、血液脳関門を通過し、脳の様々な疾患に有効に働く薬を開発するのは、現状、他の臓器に働きかける薬の開発以上に困難な条件となっています。

 一般に血液脳関門はたんぱく質(アミノ酸)を通す事がわかっていますが、ある脳疾患の薬は「たまたま」分子の形がたんぱく質に似ているため、血液脳関門を通過し有効に脳に作用しているということが判っています。


 S-アリルシステイン は 血液脳関門 を通過するか?

 そこで、 S-アリルシステインが血液脳関門を通過するかどうかという問題になってきます。

 わたしが知リ得た範囲では、残念ながら「S-アリルシステイン血液脳関門を通過するかどうか」だけを研究したデータは、見つけ出す事が出来ませんでした。

 熟成乾燥にんにくの製造元の企業の方に質問したところ、米国にもそのような研究のデータはないようでしたが、不思議な事に日本でも米国でも、「S-アリルシステイン血液脳関門を通過する」ことを前提に、いろいろな研究がなされているようでした。

 これには根拠があります。

 血液脳関門はたんぱく質(アミノ酸)を通すとお話しましたが、同じく脳に有効な成分として、脳に出来た血栓を溶かすナットウキナーゼという物質があります。にんにくのいろいろな成分に血栓の予防効果があるのに対し、既に出来てしまった血栓を溶かすという性質がナットウキナーゼにはあります。

 このナットウキナーゼ血液脳関門を自在に行き来して、脳の毛細血管の内側と外側から血栓を溶かしてゆきます。このナットウキナーゼもたんぱく質です。

 S-アリルシステインは、このナットウキナーゼと同じくたんぱく質(正しくはアミノ酸)で、更にナットウキナーゼより遥かに小さな分子量なのです。
 このような事情から、「S-アリルシステイン血液脳関門を通過する」ということは「自明の理」(すでに明らかな事)ということで、様々な脳活性、脳細胞延命、樹状突起(シナプス)成長活性の研究がなされているようです。


S−アリルシステイン 配合にんにく卵黄   熟成乾燥にんにく(粉末)